ほっそい道路を挟んだ向かいの家は、ペッカーっ
と電気がついているのに、
狙いすましたかのように、我が家は朝まで素敵に停電、みかんです。
停電なものだからクーラーもテレビもただの箱と化し、黙して語らず。
退屈だから寝よう とか思うのだけど、
あまりの蒸し暑さに眠る事もままならず。
暑さと退屈さのあまり、ついに気でも触れたのか、暗闇の中黙々と、
扇風機の羽を指で回してみる という暴挙に出てみるものの、
モーターの力を借りずして、何が涼しくなるものか。もうダメだ。
いやいや、もうダメだなんて言ってはならぬ、
どんな時でも笑顔を忘れてはならぬ と、
今度は、
「パラパパッパパー かーがーみー」
とか、似てなさ過ぎていっそ寒々しいドラえもんのモノマネなんぞをしながら、
ごそごそと鏡を取り出し、
懐中電灯で自分の顔を下からパッカンパッカン照らして見てみるものの、
笑ってしまうどころか、
「・・・何してるんだ、みかん…こんなんで良いのか」
などと、自分のこれからの人生に不安を抱くハメとなり。
そんな、
細い道路の向こう側とコッチ側 ただそれだけの違いなのに、
かたや平成の暮らし、かたや古代の暮らし、
かたや明るいサザエさんファミリー、
かたや、米騒動の打ち合わせをする仄暗い一家 みたいな事になっちゃってるその状況に、
向かいの家の明かりを見ながら、
「テレビー クーラー」と呪文のように呟き涙をのむという、
そこはかとなくマッチ売りの少女的な一夜があけ、
朝がやってきたのでした。
みかんの朝。
窓辺に集まった小鳥達のさえずりで、みかんは目を覚ますの。
純白のフリフリヒラヒラピラピラ的な、
名前すらよー知らない意味不明なものを着たみかんは、
「おはよう、小鳥さん うふふふふー」
とか言いながら窓を開け、指やら肩やら頭やらに小鳥を乗せ、
「やだ、くすぐったいわ うふふふー」なんて事も申しながら、しばし戯れ。
そして、じぃやを呼ぶ。
「じぃや、コーヒーを。
そしてこの子達(小鳥)には、シェフが焼いたパンを うふふふふふー」
それが、みかんの朝なの。
ごめん、出来心で嘘ついた。
実際は、携帯のアラームで泣く泣くドロドロと起きてます。
アラームが鳴ると、とりあえず、貞子!?って感じで、這い出てきます。
その時呟いている言葉は、必ず、
「…んー…眠い…眠いよー…眠たいよー…」
に尽きます。まるで、雪山で遭難している人のようです。
稀に、アラームになぜかすこぶる驚いて、
ものすっごいビックリ顔で飛び起き、一体何の音なんだと、
「なにっ なにごとっ」
とか言いながら、部屋中を無意味にウロウロしている事もあります。
さらに稀に、携帯とテレビのリモコンを取り違え、
アラーム消すつもりでテレビをつけた挙句、めざましテレビの軽部さんのアップに驚き、
「か、軽部っ」と叫ぶ事もあります。だってなんだか…だってだってなんだもん。
ちなみに一時期、アラーム音を、
「ハイオク満タン フォー!!」
というものにしておりましたが、あまりにも心臓に悪く、やめました。
そしてその後、かの映画でヒットした平井賢さんの曲に変え、
朝っぱらから、助けてくださーい誰か助けてくださーい気分で起きてます。
ほんと、この眠気から助けて欲しい!と毎朝切実に願います。なんてやる気の出る朝なんだ。
その後は、もうダラダラです。
すこぶるエクソシストな半開きの目で階段を下りる最中、
必ず階段の最後の一段を踏み外し、クホッ!?とか言いながら勢いあまって玄関に激突、
そしてトイレを開けたら、父上のあられもない姿、
アタフタをリビングに行けば、寝癖で頭が激しくアフロになった母上。
ですがおかげさまで、目がしっかり覚めます。
そして友達は、そんなみかんのモーニングコールで起きるのです。
「今日の母上のアフロっぷりは、レベル80くらいあったな」
とか呟きながらダイヤルし、そして寝ぼけ声で出た友達に言ってあげるのです。
「おはよ♪スゴイ事があった!
あのね、なんと!××先輩が、たまっ……(プツッ…ップーップー」
友達が憧れている先輩の名前を出し、そして言いかけた途中で即切り。
気になって仕方なかろう。二度寝どころじゃなかろう。ふっふっふ。
でも会った時に、
「××先輩がどうしたのよ!吐け!吐けー!」
と、ものすごい拷問うけるんですけどね。すっとぼけてます。だって何もないんだもの。
それぞれに訪れるそれぞれの朝、
うーん、何にせよどーしたって眠いよね。
また、遊びに来てくださいね。
ところで、ガマンはよくないよ。女性は特に
膀胱炎になりやすいようなので、気をつけてね
master | 2006/07/19 3:24 PM | page top▲ |