出会った頃のあんたは、
いつもとっても意地悪で無神経。
「なんてお子様で、嫌な奴なんだっ」
私はあんたが大嫌いだった。
顔を見れば、喧嘩ばかりしてたよね。
でもいつのまにか、気付けばいつも一緒にいたね。
二人でバカばっかりして、二人で先生に怒られたっけ。
二人でバカばっかり言って、二人で大口開けて笑ったっけ。
風が冷たいあの日は、二人で泣いたね。
夏の強い日差しの中、二人で些細な幸せ探して歩いたね。
そんなあんたの命日が大晦日だなんて、
やっぱりあんたは、嫌な奴だ。
だって、世界が新年を迎えることに沸き立つその日、
みかんは心の中で、あんたへの恨み言ばかり言ってるんだもの。
「何、先に逝ってるの、バカっ」
時間を遡り、数年前のこの日のあんたに言ってやりたい、
「何してるの!何で、そんなムチャするの!ホラ帰るよ!」
そして引っ叩いてでも、喧嘩になってでも、そこから連れ戻したい、
そんな悔しさばかり込み上げる、大晦日。もう、何回過ごしたと思っているの?
ね、あんたはやっぱり嫌な奴だ。
でもね、今は許してあげる。
だけど、いつかみかんが、おばあちゃんになってソッチの世界へ逝った時、
その老婆がみかんだと気付いてくれなかったら、ぶん殴ってやるんだから。
だって、あんたは言ったもの。
「みかんがもし、どんな姿になってても気付く自信ある。約束するから」って。
ずっと一緒っていう約束はやぶったんだから、これくらいは守ってよね。
通りすがった懐かしい君の家、
その家の表札に未だある君の名前に、そう呟いた春の風吹く午後。
唇噛んで、空を見上げずにはいられなかった午後。
だけどやっぱり、君がいてくれて、ありがとう。君に出会えて、良かった。
相変わらず素直じゃないみかんから、今は空の住人の君へのお手紙。